多文化間精神医学会

多文化間精神医学会(大会長 京都大学精神医学教室 村井俊哉教授)にてスティーヴン・マーフィー重松先生(スタンフォード大学医学部「ハートフルネス・ラボ」主宰・臨床心理学博士)の特別講演「Mindfulness in Japan and United States」で上床輝久先生とともに岸本も座長を務めさせていただきました。


ご講演の中で、米国での医療従事者への教育としてご紹介された以下のお話がとても印象的でした。

ハーバード関連病院マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital:MGH)でアフリカ系アメリカ人としては初めて教授になったChester Pierce医師(精神科医)は、医療従事者が患者と向き合い、相手を理解していくための重要な方法は、まず、医療従事者自身が自分自身を知り、自分の体験を理解することだと教えていたというお話。

そして、Richard Katz博士(ハーバード大学・臨床心理学者)は、間違いが起きて悩む医療従事者に対して、間違いをおかすこと自体はOK、間違いから学ぼうとオープンになること、そして自分自身のヴォルナラビリティ・自分の持っている弱さに気づき受容していくことが大切だと説いていたというお話でした。

私自身、ボストン在住時にMGH産婦人科で医療の質・患者安全の管理者として働いていた中で、仕事として関わっていたことと、今回のご講演での学びには重ね合わせることが多々ありました。

重松先生のご講演では奥様のマーフィ重松ちなさんにもご尽力をいただき、すばらしいご講演のひとときとなりました。ハートフルなご講演をありがとうございました。

 

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終末期医療における自己決定のために

医療従事者を対象に、患者と家族の心を支える医療のあり方の学際研究を推進する患者・家族メンタル支援学会。海と山の広がる神戸、秋晴れの日に、第4回学術総会(神戸市立医療センター中央市民病院)に参加しました。京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 教授の松村由美先生、准教授の佐藤恵子先生のお力添えのもと、シンポジウム「自分の人生の最終段階を自分で考えたいとの願いに応えるために医療側ができることは ~終末期医療における自己決定の現状と課題~」に、岸本からは、米国医療機関勤務経験を通じ、ハーバード大学の関連病院チルドレンホスピタルボストン小児集中治療室から始まったチーム医療コミュニケーション教育プログラムの実際や、マサチューセッツ州でも始まった終末期医療に関する事前指示書の動向をシンポジストとしてご紹介。シンポジウムの最初に提議された「終末期の診療方針は誰が意思決定するのか~日本的な『患者家族中心』の意思決定の現状と問題点~」。米国の様子だけでなく日本での取り組みを知り、学び深い機会となりました。

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